うつ病を治すためには
気分によって日常生活に支障をきたす病気の一つであるうつ病を治すためには、その原因を改善することが重要です。うつ病の原因としては様々なことが考えられていますが、要因として大きいのが、ストレスや過労などによって神経伝達物質であるセロトニン、ノルアドレナリン、ドーパミンなどのモノアミン類が減少するためとされています。
これらを改善するため、以下のような対策をとってみましょう。
心と体を休ませる
ストレスや過労をためこんでしまうことがうつ病発症の原因の一つであるため、十分休みを取ることが重要です。できるだけ穏やかな環境で過ごし、ストレスを軽減できるように調整してみてください。どうしても仕事を休むのが難しい方は、残業時間を減らしてもらったり、配置転換をお願いしたりするのも良いでしょう。
しかし、うつ病になる方はまじめで責任感のある性格の方が多いため、自分が仕事を休んだり、家族に家事を手伝ってもらったりすると周りに迷惑をかけてしまうのではないかと不安を感じてしまうことがあります。
これもうつ病にはよくありません。
うつ病対策をとらずに状態が悪化してしまうケースも珍しくないため、主治医に相談をしながら早めに生活環境を調整し、心と体を休ませるようにしましょう。家族や職場に現在の状況を理解してもらうことも大切です。
どのように伝えれば良いのか悩んでいる場合も、主治医からアドバイスを受けてみてください。
薬物治療
心と体を休ませるだけでもある程度の改善は期待できますが、うつ病が進行している場合や、より効果的に対策をとりたいと考えている方に必要なのが薬物治療です。
現在、日本ではうつ病の治療薬として、選択的セロトニン再取り込み阻害薬である「SSRI」のほか、セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬である「SNRI」が処方されています。
これらは「抗うつ薬」と呼ばれるものであり、うつの症状を抑えたり、改善したりする効果が期待できるものです。一人ひとり状況は異なるので、カウンセリングなどで状態を確認しながら抗うつ薬のほか、抗不安薬や睡眠導入薬、気分安定薬、非定型抗精神病薬などが使われることもあります。
薬を用いた治療は効果が大きいのですが、必ず用法用量を守って使わなければいけません。自己判断で勝手に量を増やしたり、減らしたりすると副作用が起こる可能性があります。指示された通りに飲みましょう。
また、即効性のある薬ではないため、効果が現れるまでには最低でも2週間以上かかると考えたほうが良いです。心配なことや気になる副作用があれば主治医に相談しながら継続して使用してください。
精神療法
精神療法として、マイナス思考になってしまうのを改善させる認知行動療法や、うつ病の原因として考えられる対人関係の問題を解消する対人関係療法が代表的です。いずれも単体で行うというよりも、主に薬物治療と組み合わせて実践していくことになります。
その他の治療
この他に適度な運動を行う「運動療法」、体内時計を整えるのに効果的な非常に明るい光を照射する「高照度光療法」、眠った状態で脳に電気刺激を与えることによって神経伝達物質を放出させ状態改善を目指す「修正型電気けいれん療法」、機械で発生させた磁場の誘導電流によって神経細胞を刺激する「経頭蓋磁気刺激法」などの方法があります。
選択肢は非常に豊富なので、気になるものがあれば相談してみてください。
ウコンは抗うつ作用があるって本当?
うつ病の症状緩和のために使われるのが「抗うつ薬」とう呼ばれるものであり、カレーのスパイス「ターメリック」としてもおなじみのウコンには抗うつ薬と同じく抗うつ作用があるとされています。
これは、ウコンに含まれているクルクミンというポリフェノールが幸せホルモンとも呼ばれるセロトニンに影響を及ぼすからです。実際にうつ病の治療としてウコンのような天然物を使っている国もあり、効果も確認されています。
マウスに対してクルクミンを投与して結果を調べた研究があるのでご紹介しましょう。研究の中では、マウスにクルクミンを単回および連続投与し、変化を調べました。その結果、クルクミンを10mg/kg単回投与した群においてセロトニンが増えたとの結果になっています。
参考:日本補完代替医療学会:脳内セロトニン含量に及ぼすcurcuminの影響
うつ病はセロトニンと深い関係があると考えられているので、ウコンが今後日本でもうつ病対策として取り入れられていく可能性もありそうです。
ウコンと医薬品の飲み合わせ
ウコンがうつ病に対する効果が期待できる食材だとしても、医薬品と同時に取り入れていく場合には注意しておかなければならないことがあります。特に薬の中には飲み合わせが良くないものもあるため、投薬治療中の方はウコンを取り入れる前に担当医師と相談をしましょう。
例えば、血液をサラサラにする薬や抗がん薬、蛋白分解酵素、免疫抑制剤、サラゾスルファピリジンなどの飲み合わせでは作用に影響を及ぼす可能性があるとされているので、必ず相談が必要です。抗うつ薬、抗不安薬などの向精神薬の中にも確認が必要なものがあるため、自分の症状をよく理解してくれている医師に相談してみてください。
ウコンは健康食品としても様々なものに含まれていますが、「薬ではないから医薬品と組み合わせても大丈夫だろう」と自己判断するのはおすすめできません。
原因を取り除いたうえで対処が必要
できれば治療を開始する前にうつ病の原因やきっかけと思われるものがあれば、それらを解決したうえで治療に臨みましょう。薬を用いた方法以外にも、ゆっくりと心と体を休めたり、バランスの取れた食生活を心がけたりすることが大切です。
ウコンが持つうつ病への働きにも注目してみてはいかがでしょうか。